下町ロケット⑩第2話と「科学の光と影」

 ※どうでもいいが、我ながら、今日の話は力作(笑)

佃航平が第二話のナカシマ工業逆訴訟の法廷で裁判官に「科学」について熱弁を振るいましたね。この熱弁がとってもよかった!私は泣きましたけど、大企業寄りと言われた裁判官も、あの熱弁には心を打ち抜かれてしまい、 佃たちの勝訴に繋がりました。

一体何が良かったのか?一言で言えば、佃航平の熱弁は佃製作所の「経営者」としてではなく、「本物の科学者そのもの」の叫びだったからだと言えるでしょう。

 

そこで!「科学者」と言えば、、、吉川ファンならすぐに思い浮かぶのが、こちら

フランケンシュタインの誘惑」

吉川晃司さんは、BSプレミアムで「フランケンシュタインの誘惑」という番組を始めたんですけどご存知ですか?これは、「科学史に埋もれた“闇の事件”にスポットを当て科学の真の姿に迫る知的エンターテインメント」。本当に新鮮で面白く、ぞぞっとするし、なるほど~と唸らされる。

前回は7月2日放送の「フリッツ・ハーバー」というドイツ系ユダヤ人の天才科学者でした。今日改めて見てみて驚き!簡単にハーバーについて書きます↓

 

ハーバーは世界的な食糧危機の時代の中、空気中にある「窒素」を液体や固体として取り出すことで「肥料」を作り出し、その「肥料」のおかげで多くの作物を作ることに成功。結果として人類の3分の1に相当する人々を食糧危機から救うという大偉業を遂げた天才科学者です。

ところが、時代は第一次世界大戦。ドイツ軍からその天才科学者ぶりに白羽の矢が立ち、兵器である「毒ガス」の作成を命じられます。

パンを作りだした「窒素」と全く同じ「窒素」から、今度は毒ガスを作ることに成功。

何十万人もの連合国軍の兵士を毒殺してしまう、という話です。

 

ではハーバーは悪意を持って毒ガスを作ったのか、というと全く反対で

「国の役に立ちたかった」のだし、「毒ガスによって戦争を少しでも早く終結できれば無数の人名を救うことになる」と述べています。

あれ?この発言、どこかで聞いたことが??現在のアメリカ人の約半数の人が日本への原爆投下について、「それによって戦争を早く終結できた・・・」これと全く同じ発想ですよね。

 

番組の中で

「化学は価値中立」

一つの科学技術が「平和利用」されることもあれば、「軍事利用」されることもある

総合研究大学院大学 名誉教授 池内了さんより)

と仰っていました。吉川アニキの歌にもある「光と影」ってやつですね。(笑)

 

お~い!?話は「下町ロケット」じゃなかったのか~い?

ええ、そうでした。驚いたことに、佃航平の話は、全くこれと通じるのです!

あまりに感動したのでそのまま台詞を引用しますね↓(八津先生、ごめんなさい)

 

「今日娘が私の服にアイロンを掛けておいてくれた。法廷で恥ずかしくないように、と。この服のシワをどうやったらもっと簡単に伸ばせるか?ただ、それだけを思ってアイロンを作り上げた技術者の思いがあったから。そういう技術者を守る為にこそ、特許はある!それに振り回されて金のことしか考えなくなったら そこに技術の進歩はありません!そんな特許なら無い方がましだ。特許の買収しか頭にないあんたたち(ナカシマ工業)の為に、うちより先にあの技術を完成させることなど絶対に出来る訳がない。

たとえこの裁判に負けたとしても、特許を奪われたとしても屁でもありません!培ってきた技術だけは誰にも奪えない!!」

 

・・・そうです。

〇科学の「平和利用」=娘の愛情が詰まった「アイロン」

〇科学の「軍事利用」=特許という「金」

と言えるのではないでしょうか?!

しかも

〇佃の「水素エンジンのバルブシステム」=空気中にある「水素」を利用。

〇ハーバーの「研究」=空気中にある「窒素」を利用。

 

むむっ。こ、これは、「水素エンジン」が他にも汎用性があるということを示唆しているのかもっ?!(「ガウディ計画」の宣伝では、ありません(笑)

 

このように見てくると、どうも吉川晃司さんは「科学ってやつぁ~善にも悪にもなるんだぜ」とどうも私たちに訴えたくて仕方が無いように、私には思えます。

 

それから、先の池内教授は

科学者は研究の責任を必ずしも負うものではないけれど、研究を手放してよい訳ではない・・・つまりその利用法やその後の面倒まで見届けることが科学者の責任だ、と仰りたいようなのです。

・・・こう考えると、佃航平はバルブシステムの「特許」は「売って、はい、終わり」、と手放すわけには行かないんじゃないか?

最後まで責任を持ってその行方を見届けるのが、「科学者 佃航平」としての責任なんじゃないか?という所まで 妄想は飛んでいくのです。

 

第二話は何とも奥が深く見ごたえが満載でした。

ナカシマ工業の法定戦略を、うまい具合にスッパ抜いた「毎朝新聞」(←朝日、のもじり?(笑)にも、「ジャーナリスト魂」を感じましたし、ジャーナリズムとはこういうものだ、という姿勢を感じたりもしました。

最後に、私の涙がドバっと出た瞬間の台詞をご紹介して、本日は終わります↓

 

「私はかつてロケットエンジンの開発に携わり、失敗しました。

でもね、あの失敗があるから今がある。

どんなに素晴らしい発明も、そのたった1つの成功のうらに何百、何千の失敗がある。その積み上げられた失敗を技術者たちが報われなかった努力を馬鹿にすることは許さない。

技術者はみんな 自分の無力さを知ってるよ!!!」

泣゚(゚´Д`゚)゚泣 どひゃ~っ!!

 NHK BSプレミアム
フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿
放射能マリーが愛した光線」

2015年11月26日(木)21:00~21:59

番組紹介:
科学史に埋もれた“闇の事件”にスポットを当て科学の真の姿に迫る知的エンターテインメント第3弾。
今回は誰もが知る偉人マリー・キュリーの、放射能への愛が招いた悲劇を取り上げる。
夫ピエールと二人三脚で放射能を発見し女性初のノーベル賞を取ったマリー。何物にもよらずエネルギーを発する放射能の発見は、「分割不可能で不変の、物質の最小単位」という、それまでの原子の常識を覆し、「核の時代」の扉を開くものだった。
しかし、夫の急死、妻子ある男性との不倫騒動を経て、マリーの純粋な科学愛は次第にゆがんでゆく・・・。

ナビゲーター:吉川晃司