下町ロケット⑨仕事について、マズローの5段階説

おはようございます。現在朝の7時41分。今日も朝から書きます(笑)

昨日、脚本家の北川悦吏子さんの講演を聴きに行った話を書いていて、思い出したことがあります。その講演を聴きに行った当時、私は20代半ば。ある仕事をしつつも、「この仕事が本当に自分が心からしたい仕事なのか?」と悩んでいました。よく見かける若者の姿ですね。

 

当時北川悦吏子さんは、既に「ロンバケ」(ロングバケーション)という、木村拓哉さん主演の大ヒットドラマを世に送り出すなど、押しも押されぬ売れっ子脚本家。

その北川さんが、母校早稲田大学で後輩の為にどんな仕事談義をしてくれるのか、と、早稲田大学卒でない私ですが、縁あってこっそり講堂に潜り込み お話を聞くことができたのでした。

 

あれから15年、いや20年近くたった今も、当時のことをよく覚えています。

北川さんはこう、仰ったのです。「脚本家は、全然自分の好きなようには書けない。テレビ局の意向通りに何度も何度も書き直しさせられる」・・・と。

これを聞いた、当時純粋で世間知らずだった20代の私。「せっかく好きな(書くという)仕事についても自分の好きなように書けないなんて、脚本家ってつまらない仕事だな・・・」

そう、本気で思って 脚本家を目指す!という道は その講演会直後に泡となって消えたのでした。

 

下町ロケット」の脚本を書いておられる八津弘幸先生は、HPで拝見するに、とても楽しそうな表情でお仕事をされているようですね。直木賞受賞作家で世間で話題の池井戸作品の脚本となると これはすごく大きなお仕事で 「並み」の脚本家さんじゃ出来ないお仕事でしょうから、八津先生は脚本家として相当な地位の方なのでしょうけど(すいません、脚本家の方のお名前はほとんど存じませんので八津先生のお名前は今回始めて知りました) もしかして かなりの部分でご自分の好きにお書きになることが出来ていらっしゃるのかも知れませんね。

 

昨日の朝日新聞で過去の人気ドラマNO1に輝いた「北の国から」。これは有名な(私のような者でも知ってる)倉本聡先生がお書きになったドラマですけど、倉本先生レベルになるともう絶大な地位(?)をお持ちで、お好きに書かれていると思いますけど もし20代のあの頃の私に

「脚本家も、何の仕事でも、それ相応の実力を持てば地位がついてきて、ある程度好きに出来るようになるものだよ」

と誰か大人の人が教えてくれていたら、「よし!目指そっかな」とあるいは思ったやも、知れません。

 

・・・なんて、倉本先生レベルは努力とかのレベルではなく神から与えられた「天性の才能」を持った人にのみ与えられる特権で、普通の人には到底無理な話。

 

仕事とは、そのように「他に置き換えの効かないような凄い実力」の持ち主にのみ、好きなように物事を進められる権限が与えられるものなのかしら?

もちろん倉本先生も骨子の部分はご自分の思うように書かれ、他を寄せ付けないとしても 他の部分では他の方の協力無しに作品を仕上げることは出来ないことは承知しておりますが・・・。

 

さて、仕事についてはこんな風に誰もが「自分の思うことと、今やっていることとはちょっと違うんだけど・・・」というジレンマを抱えているのではないでしょうか?

吉川晃司さん演じる財前部長も、今後、帝国重工という大組織の中にあって 自分の中に第3回放送で沸いた「佃製作所への共感」を通すことは 難しそうです。そのジレンマの中 財前はどう自分の想いを通して行くのか?上司と部下との板挟みになりながら必見ですね。

そして第1話で放送された山崎のプロフィールを見ると、彼も元々大企業の中で商品管理の仕事についており、本来技術者としての自分を生かし切れず「自分がやりたいことと、違う!」と思いながら日々を送っていた所、佃社長に拾われ(?)、自分の思いを貫ける仕事にめぐり合うことが出来ます。

このように「下町ロケット」は自分の仕事についても考えさせられる作品ですね

 

さて、「仕事」について考えてきましたが人間の欲求段階には以下のような段階があることをご存知でしょうか?

マズローの欲求5段階説

人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するというもの。

第一階層の「生理的欲求」は、生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、寝たいなど)で、この欲求を充たせれば、次の階層「安全欲求」を求めます。
「安全欲求」には、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたい(雨風をしのぐ家・健康など)という欲求が含まれます。
「安全欲求」を充たすと「社会的欲求」(集団に属したり、仲間が欲しくなったり)を求めます。この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなります。
ここまでの欲求は、外的に充たされたいという思いから出てくる欲求です。

そして次に「尊厳欲求(承認欲求)」(他者から認められたい、尊敬されたい)という欲求が芽生えます。ここからは外的なモノではなく、内的な心を充たしたいという欲求に変わります。
そして、最後に自己実現欲求」(自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなど)の欲求が生まれます。

マズローの欲求5段階説

※ちなみに、マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表しました。それは「自己超越」という段階。
「目的の遂行・達成『だけ』を純粋に求める」という領域で見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭するという領域のようです。

 

・・・佃航平の夢は「マズロー」のピラミッドの最上階に位置すると考えられます。

人間が、「仕事がどうの」と悩むのは実は本当は恵まれた環境にいるのだということがこのピラミッドからわかりますよね。

まずは「衣食住」が満たされ、「安全」が保証されなければ「夢」と言っていられません。

その意味で今の日本はどうでしょうか?

シリアなど、空爆で明日の命も分からない環境からすると今の平和な日本は恵まれていると言えるのかも知れませんね。

「夢」の為に、「平和」はなんとしても守り続けることが大切。

そう、考えた次第。朝からこんなことを考えて頭がくらくらしそう・・・。(笑)

ではまた