下町ロケット⑭第4話「就職活動をする皆様へ」

 

下町ロケット第4話」、ここでは「帝国重工による佃製作所の部品供給が自社にとって適正か否かのテスト」が描かれます。

この回の大きなテーマは何か、一言で言えば

「お互いに、相手が相応しいかどうかの見極めの場である」

ということに尽きます。

 

ここ最近、就職活動の時期が前倒しになっているというニュースをよく聞きます。

第4話を見て、私の就職活動の頃のことを思い出しました。

時は就職氷河期団塊ジュニアと呼ばれた私の世代はまさに「ゆりかごから墓場まで」の競争を強いられる、厳しい世代です。

ですので、出来るだけ多くのエントリーシートを書いては送り(当時はまだ手書きでした)まずは志望するしないに関わらず、出来るだけ沢山の企業を受験して 本命企業に備えることが良いとされました。

 

思い出すのは対照的な2社です。

某有名コンピュータ会社にまずエントリーシートを送りました。エントリーシートとはご存知のようにその段階で既に審査の第一とされており、志望動機などをチェックされるものですが その会社のそれには「志望動機蘭」がなく、住所、氏名と出身大学を書く程度のものでした。なんとそこで私は書類審査落ち。「それは出身大学で切られたんでしょ」と思われるかも知れませんが、違うのです。私と一緒にエントリーシートを送った、某超一流大学の友達までもが 書類審査で落ちたのです。(ちなみにエントリーシートは、すごく細かい字で志望動機を力いっぱい書いてやると、書類審査で落ちることはまず滅多にありませんでした、私の経験上)

 

私と友達は愚痴りました。「あ~あ~、あの会社 有名な大企業だけど 最初から全く人を採用する気がないね。本当に失礼な会社!」

そうです、

顔が見えないからといって何をやってもいいという問題ではない!

また、顔を見せたからと言って 人の揚げ足を取るようなふざけた面接をするものでもありません!

せっかく意気揚々と頑張っている学生に対し、その気持ちに水を掛けるように揚げ足を取り、イヤミを言うような人は、吉川アニキ曰く

「他にすることがない人なんじゃないかな、と思いますね」(ファンクラブ会報より)

吉川アニキが言うように、ご自分の人生を謳歌している面接官は、決してこのような人として間違った態度をとらないものだと思いますし、このコンピュータ会社の方々はきっと年下の若い女性をイビるお局さんのような人生を送っておられるのではないかと思います。

 

そんな失礼極まりない会社のある一方、某企業の 面接官がこんなことをおっしゃいました。

「僕たち企業はあなたたち学生を選ぶのと同時に、あなたたち学生は僕たちにとって大切なお客様でもあります。だから今後も僕らの企業に対し、いいイメージを持ってもらう為にも、僕たちは君たちに嫌な想いをさせたくはないです」

どうです?この台詞。これは紛れもない実話です。私はこの、クリーム色のスーツを着てビシッと髪型を整えた、今までとはちょっと違う雰囲気のこの面接官の印象を、あれから20年近くたった今も鮮明に覚えています。(その面接官が朝日新聞を取りなさいというので、私は母にいって朝日新聞に一時期変えたくらいです。余談ですけど・・・)

それほど この台詞は当時、ひたすら「選ばれる側」であった弱者の立場の私にとって目からウロコと言っても良いくらい、強い インパクトを与えたのです。

それは弱者だからといって、卑屈になるなという面接官のメッセージとも受け取れます。中小企業である佃製作所の若手社員が大企業帝国重工を前に

「どうせ俺たちは中小企業だよ」、そして佃社長自身でさえ「俺たちは卑屈になっていたのかも知れないな」と言いました。 けれど、就職も仕事も、

お互いに選び、選ばれる立場

であることを忘れてはいけないと思います。

ちなみにこの会社で私は最終面接までいきました。一緒に受けた超一流大学の友達は、2次面接で落ちました。このことから、例え一流大学でなくても卑屈になることはない、と学生さんたちに私はお伝え出来ると思います。吉川アニキは高校中退(超進学校ではある)ですけどあんなに立派な人生を送ってらっしゃいますし・・・。

そして私は最終面接で大失態をやらかし、どうせ落ちるんですけど。

ま、それはどうでもいいとして・・・。

 

ですから殿村の台詞は痛快でした。

「何か勘違いされてませんか、田村さん。うちも帝国を評価してるんですよ。もし仮に正確な判断が出来ない会社なら、うちとしても付き合うわけにいかない。

分かってないのはあなたたちだ。

(略)そんな態度ではうちの方からお断りします。ましてやうちの大事な特許をあずけることなど、到底できません!!」

そうです、かつて白水銀行に突きつけてやったように

「お付き合いを、お断りさせて頂きます」

です。

私と友達も先のコンピュータ会社にそう言ってやりました。勿論、面と向かってではなく、そこらの「カフェで」ですけど・・・o ̄∇ ̄o)♪

 

その後、佃製作所の若手社員は「プライド」を掛けて審査を乗り切ります。

私たち視聴者は、このような佃たちの姿勢から

どんなに大企業が相手であっても 決して卑屈にならず プライドを忘れない

ということを教えられました。

 

現実社会に生きていると、上のコンピュータ会社や帝国重工のような人を小馬鹿にした態度の人々に出会うことが多くあると思います。

そんな日々の中、日曜の夜に「下町ロケット」を見ると、佃たちが沢山の勇気を与えてくれます。

 

さあ、このような審査を経て 結局帝国重工は、その後財前部長の手助けもあり、 佃 製作所からの部品供給の道を検討することになっていきます。

・・・・ところで?吉川アニキは就職活動をされたこときっとないですよね?

デビューしてすぐブレイク。私たち庶民のような苦い経験をせずに済むなんて

本当に神に愛された、選ばれし「大スター」は違うな・・・。本当に羨ましい・・・。

と思った次第。

 

ではまた