下町ロケット⑪第2話「夢とプライド」
「下町ロケット」にはいくつかのテーマがあって、その1つは「男たちの熱いプライド」。「プライド」って、吉川晃司さんのテーマ(?)でもありますよね。いつぞやに「PRIDE」というツアーもあったっけ?(当時私はファンでなくてその名がついた経緯は詳しく分からないけど)
でも、この世の中、自分の「プライド」を貫き通すには、色々な壁にぶつかることも多いですよね。「困難な壁にぶち当たった時には、壁に穴を開けて進めばいい」(ファンクラブ会報より)という吉川アニキ。そんな彼の精神は好きな言葉に現れています。それは
蘭心竹生(らんしんちくしょう)
(意味:蘭のような華やかな心を持って、竹のように真っ直ぐ生きる)←ご本人談より
「下町ロケット」の第二話では多くの男たちの「プライド」を見ることができます。第二話では「佃社長」や技術部の「山崎」や経理の「殿村」を始め、多くの男性の「プライド」が際立っています。それはバルブシステムの特許を買い取る為、佃製作所を訪れた財前部長(吉川)と富山(新井)たちとの会話で、強烈に散見されました。以下、見てみたいと思います。
財前:御社の特許技術は弊社のロケットエンジンに搭載されてこそ、生きると思います。その素晴らしい特許をこのまま埋もれさせることになってはあまりにももったいない。
山崎:埋もれさす?(怪訝な表情)
富山:失礼ですが、御社にあのバルブを活かす技術はあるのでしょうか?(失礼ですが、と一応断ってはいるけど大変失礼な言い方)
山崎:うちみたいな企業には「宝の持ち腐れ」だと仰りたいのでしょうか?(よくぞ、言ってやりました、山崎)
富山:いや、そうは言ってません。そうは言ってませんが・・・(と言いつつ、そう言っているも同然)
・・・このような大企業帝国重工側の言葉には、中小企業佃製作所を小馬鹿にした態度が言葉や態度のあちこちに散見されます。
そこへ
財前:20億でいかがでしょうか?
ついに切り出します。
ここでお茶と塩大福を運んできた、佃製作所のマドンナ、20億と聞いてびっくり仰天。お茶をどひゃっとこぼしてしまいます。
この描写、日頃お金に苦戦している中小企業の気持ちをよく表していると言えそうですね。でも佃社長は頑張ります。
佃:長年掛けて作ったバルブシステムは言ってみれば手塩にかけた我が子みたいなものです。
山崎:金の問題じゃないですよね、社長・・・(社長に同意を求める)
・・・そして今後の行方を悩む会議の場面での殿村の一言。
殿村:20億じゃ安すぎる。100億と言ってもいい。
これは、素直に20億と聞いて喜びにあふれる他の社員たちに対し、いや、自分たちの技術はそんなもんじゃないんだ、100億の価値がある世界品質なんだ、と「プライド」を持っているからこその発言。そんな殿村の姿勢が眩しかったです。
・・・大企業帝国重工の財前や富山には、
「金さえ出せば、中小企業など何でもいうことを聞く」
という思い上がりがあります。彼らがバルブシステムを開発するために費やしてきた、
多くの時間・何度も失敗する中、積み上げてきた努力・強い思い
などに全く配慮がなく、その気持ちに思いを馳せることが出来ないのです。
ここは視聴者の皆さんも大いに共感された場面ではないでしょうか?
バルブシステム開発は佃社長の「夢」です。皆さんにも大切な「守りたいものや夢」がありますよね。それは「手塩に掛けて育ててきた牛や馬や豚たち」であったり「先祖代々受け継いできた土地」や「全財産を投げ打って手に入れた家」であったり、「子供たちの健康」だったり究極の所自分たちの「命」であったり・・・。
そういう、お金に変えられない大切な夢や物が、人には必ずある。またそれらを守る為、大企業と真っ向から闘う佃や山崎や殿村の姿に、人としての「プライド」を感じることが出来るのです。
また、田端裁判長も「仕事にプライド」を持つ方でした。真実を正しく見抜き、大企業寄りではなく、正義の判定を下す裁判官でした。(それを見抜いて戦い方を変えた神谷弁護士もまた仕事にプライドを持った 人でした)
毎朝新聞の彼も、「父の会社を潰した憎きナカシマ工業を叩き潰す」という、自身の「プライド」をかけた人でもありました。
吉川アニキは言います。
今、世の中全体的に体温が低くなっちゃってる気がするんですよ。(ファンクラブ会報より)
大切なものを守る為に「プライド」を取り戻す。
「下町ロケット」が私たち視聴者に対して発する大きなメッセージがここにある気がします。
ところで・・・?
「プライド」を持つ吉川晃司さんが佃、社長たちのプライドをボロクソに言うって・・なんて皮肉なドラマなんざんしょ?ね。(笑)
ではまた